塗り替えワンポイントメモ

塗り替えワンポイントメモ

スタッコ外壁面の下塗り材について / 京都

2012.09.19

塗装の知識

外壁塗装で、既存塗装がスタッコの場合の下塗り材についての考えをご紹介します。

私の持論になりますが、スタッコの塗り替えには 「痛し痒し」 の点が、いくつかあります。

 

1. 表面が脆いスタッコ

「痛し痒し」1つ目は、以前にブログにも書かせていただいたのですが、既存塗膜状態が、指でこすっただけで ボロボロ落ちてくるような まるで搔き落しの様なスタッコです。

私はこんな時 搔き落しの場合と同様、あえて高圧水洗はしないで 2液性エポキシシーラーを下塗りした後に 『次の工程』 に入ります。

『高圧水洗をしないでシーラーを塗る』 と言う行為について、以前に見積り依頼があった客様から 『水洗を煩わしく思った手抜き』のように思われて 「教えて!goo」 と言うサイトで サラシ者になった事があります。

・・・全くの 誤解です。

・・・高圧洗浄の目的は、既存塗膜に付着している汚れや 虚弱塗膜を落とすことによって 新塗膜の密着を良くすることです。
・・・かと言って 高圧洗浄と銘打って 闇雲に虚弱な躯体をいじめる様な 高圧水攻撃が、躯体にとって良いかと言うと・・・『NO!』 です。
・・・この場合、2液性エポキシーラー 及び 2液性エポキシ樹脂プライマー 及び カチオン樹脂プライマー等 で固着することがベストです。

・・・この件に限らず、何事も 根拠に基づいて 『ケース・バイ・ケース』の対応が出来る事が 最も大切です。

第一工程が、高圧洗浄の場合もあれば、シーラー等の下塗りの場合もあるという事です。

 

2. サーフェーサーの選択

「痛し痒し」2つ目は、下塗の工程です。
弊社は『エスケー化研の特約店』という事もあって、エスケー化研の「サーフェーサー」について少し説明いたします。

『アンダーサーフDS』は 既存塗膜が  砂状弾性厚付塗膜専用の  通気性のある中塗り材です。
『ソフトサーフGS』は   一般的な既存塗膜の上に塗る  微弾性・防水型の中塗り材です。
いずれも旧塗膜が活膜の場合にシーラー等の下塗りを省略することが出来ます。

要するに、旧塗膜が活膜の場合に使用できる下塗材です。
(・・・これを勘違いして、無塗装≒無機質表面に  いきなり『ソフトサーフGS』・『アンダーサーフDS』等を一回目塗装とする業者も  沢山存在しますのでご注意ください。)

既存塗膜が弾性厚付塗材(弾性スタッコ・ベルアート等)の場合、ちょっとしたクラックや隙間から 躯体と塗膜の間に水分が入ったら、通気性のない塗膜の中で 水蒸気の膨張となって「塗膜の膨れ」を発生させます。
この場合、膨れた塗膜はしっかりと除去した上で 素地部分にシーラーを下塗りしてから サーフェーサーを中塗りするのですが、・・・

この時に『ソフトサーフGS』などの「通気性の少ない微弾性」で中塗りした場合、
もともと膨れの性質を持っている躯体なので、同じ事(塗膜の膨れ)が起こる確率が高いです。
なので、通気性があって、弾性で無い『アンダーサーフDS』を中塗りすることで  今後の膨れを予防しようという訳です。

ところが、いくら通気性重視で『アンダーサーフDS』を中塗りしても、上塗りに通気性がなくては意味が在りません。

『アンダーサーフDS』と相性が良いのは水性セラミシリコンの「艶消し」です。

・・・通気性があります。
しかし、水性セラミシリコンの「艶あり」だと通気性が少ないので、『アンダーサーフDS』を塗る意味がありません。

話をスタッコに戻しますが、
『アンダーサーフDS』は砂状弾性厚付塗膜(弾性スタッコ)専用とは言うものの、
粗面の塗り替えで 塗膜間に空気が残留し易いのは一般スタッコでも同じと考えます。

メーカーは「一般スタッコの場合はあまり心配いらない」と言っています。
「絶対か?」と尋ねたら「アンダーサーフDSの方が安心」と言います。
「でも、仕上げが艶ありだとアンダーサーフDSを塗る意味がない」と言います。

ややこしい話ですみません。

今までのお客様で、
『弾性でないスタッコでは膨れの心配はほとんど無いだろうけれど、より安心できるアンダーサーフDSをお薦めします。 但し、この場合 仕上げは艶消しになります。』

と ご説明したうえで見積もりをして、話が決まっていざ本番となると、

「ご近所の塗り替えは皆 艶ありだし、やっぱり 艶ありの方が塗り替えたって感じなので艶ありでお願いします。」
という事が在りましたので、・・・

それならば、わざわざ少量生産で値段の高いアンダーサーフDSを塗らなくても、メーカーも心配いらないと言っている大量生産で値段の安いソフトサーフGSの方が、見積も安くできるので良いのではないか。

てな感じで、今では 艶ありニーズが多い中、ソフトサーフを低粘度にしてたっぷりと空気の溜まりの無い様な塗り方を心がけて 施工しています。

勿論、艶消しご希望の場合は、アンダーサーフDSを使用します。

以上、痛し痒しの スタッコ壁面の下塗り・中塗り材の選択の話でした。

 

3. 問題点への気づき

外壁の躯体は「様々な種類」と「その劣化状況」があります。

一筋縄ではいかないのではないかと思う物件に、時々遭遇することがあります。

そう言う  疑問点に気づいていない業者も、相当存在すると思っています。

問題を「軽視」あるいは「悪意のない無知」のまま施工しても  暫くは変化はなくても、数年後には何らかのトラブルが発生することが多いと察します。

最悪の場合、表面塗膜層剥離など、取り返しがつかないリスクもあります。

そうならないためにも現場をよく見て、問題がありそうな塗り替えなどには、その旨をお施主様にも説明をし、細心の注意を払って施工しています。

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